ジャパン・スーパーユース・マンドリンオーケストラ 参加への呼びかけ
 
 
 新宿や渋谷のような繁華街を歩いていると今の日本が少子高齢化だといわれてもなかなかピンときませんが、マンドリンの世界においてはこの楽器に携わる人口が確実に減りつつあります。

 現在どこかの楽団に所属して活動している方々は普段このようなことを考えず、楽しく音楽活動を全うし引退できればそれでよいのかも知れません。しかしマンドリン界全体は今、存亡の危機、その曲がり角にいると感じます。

 コロナ禍以降特に壊滅的なのは、大学のマンドリンクラブでしょう。マンドリン人口減少や高齢化といったマンドリン界の先細りと衰退は、正に今「そこにある危機」です。
 
 マンドリン界のみならず地方ではこの衰退の連鎖が既に始まっており、部活動は軒並み部員数が減り廃部の危機に瀕し、中学高校の部活動が各学校単位ではなく市町村単位での活動、もしくは大人の楽団との合同という形に、大袈裟ではなく統廃合が始まっています。この背景には少子化に加えて顧問の先生の労働環境の改善が大きな要因となっていることは、ご存知の方も多いでしょう。
 
 私はこれまで教員をはじめ何人かの首長、教育委員会の上の立場の方とお話する機会がありましたが、現場の方々は一様に子供達の部活動を何とか残そうと知恵を絞った結果のこの移行ですが、子供達にとって音楽との関わりや生活スタイルが変化することで、楽器の上達や音楽性の成長に果たしてどうプラスに働くのか。一方では、ダンス部や軽音楽部には部員が殺到するという奇妙な現象も起こっており、世の変化を嘆いていても仕方がないとはいえ、何とも複雑な思いに捉われます。
 
 ジャパン・スーパーユース・マンドリンオーケストラ(JSYMO)は、若い人達が憧れ目指すような演奏者を育成し、その循環を作ること、高いレベルでの合奏体験を多くの演奏者に楽しみ味わってもらうという目的で始めました。  JSYMOを始めた2018年当時は、マンドリン人口の減少という厳しい現実にまで考えが至っておらず、単純に若手奏者の育成こそがこの業界を発展させるのだという強い信念の元進めて参りました。しかし前述したマンドリン界を取り巻く環境を今後どうよい方向に変えていくか、そのためにもマンドリンの音楽や合奏に携わる人を一人でも多くしたい、業界全体で危機感を共有し協力し合いたいとの思いを、とりわけコロナ禍以降、以前にも増して私はとても強く感じるようになりました。
 
 私自身も音楽家を目指した頃より憧れの存在、理想とする演奏や音楽が常に頭の中にあり、今でもそれらが自分を突き動かす一つの原動力となっています。JSYMOにおいてもそのような存在の演奏者を育成したい。また、音楽を作る上での共通の語法や方法を身に付ける場を作りたい。そこで得た体験を自分の楽団に持ち帰ることでその学びは更に活かされるでしょう。全国各地の師匠と弟子の関係を超えた高い次元での音楽を追究する場でありたいという願いが、スーパーという冠を付けた所以です。しかし「高い次元」だからといって常に殺伐とした雰囲気の中で音楽を作っているのではありません。「学ぶことは楽しい」この気付きを得た若者達が、プロフェッショナルの演奏家達と切磋琢磨し楽しみながら音楽を作る環境がここにあります。
 
 技術は後からついてくるものです。先ずは自分自身を刺激ある学びの場に置いてみたい、そんなアンテナが張っている多くの皆さんのご参加を心よりお待ちしています。