次世代を担う音楽家を育成する目的のジャパン・スーパーユース・マンドリンオーケストラ(以下 JSYMO)がこうして6度目の開催を迎えることができました。コロナ禍で中止となった2020年からはや数年、多くの方々の興味や関心がようやく戻りつつあるのを実感しています。加えて、音楽の楽しさを追求する年齢制限なしの合奏教育プログラム、マンドリン・ミュージックキャンプ(以下 MMC)も2022年の開設以来、参加者も増えて確実に演奏のレヴェルも上がっています。7月には静岡にてこのMMCとJSYMOの合同セミナーという形で2日間多くの参加者の皆さんとみっちりと合奏を楽しみました。
回を重ねることは社会における認知度の向上に結びつきます。継続するためには経済的な条件も生まれてきますが、カレーハウスCoCo壱番屋の創業者・宗次徳二さまが運営されているNPO法人イエロー・エンジェルさまからここ数年に渡りご支援いただいておりますことをご報告し、この場をお借りして心から御礼申し上げます。またJSYMOサポートメンバーとして応援いただいている皆さまも徐々にその数が増えつつあります。多くの方々のお気持ちとあたたかな眼差しや援助によりJSYMOは成り立っており、その甲斐あり優れた奏者がこのJSYMOから確実に育ちつつあります。
JSYMOでは、参加された皆さんに演奏会終了後、修了証というものをお渡ししています。これはその年のJSYMOへの参加を証明するものですが、今のところただの紙でしかありません。しかしこの修了証を持っていることに価値がある、近い将来そんな時が必ず来ると私たち指導陣は確信しています。JSYMOの門をくぐった人たちは優れた演奏者であることは当然のことながら、他者に対する振る舞いや接し方においても常識を兼ね備えバランスの取れた人物であることを目指します。常軌を逸したエキセントリックな個性や立ち振る舞いこそ突き抜けた才能溢れるアーティストであるという社会の雰囲気やイメージは、あくまでもマスメディアが作り出した虚像に過ぎません。音楽とは人が奏でるもの。演奏には最終的にその人の人間性が現れるものです。
次世代の若手奏者と指導者を育成するためのJSYMO、一方で高い意識や意欲を持つ大人の方々に向けた合奏の楽しみを提供するMMC、一見方向性は違えどもマンドリン合奏とマンドリンという楽器の魅力をとことん掘り下げることで、この演奏形態における音楽の魅力を広く発信し、同時にマンドリン合奏を携わる人たちが世代を超えて打ち解けあい、協力する体制を築く目的がそこにあります。
その前提としてあるのは、音楽への愛、そして自らその人生において縁あって巡り合い手にしたマンドリン属の各楽器、ギターやコントラバスといった自身の楽器への愛、その先に同じ楽器を愛好する仲間へのリスペクトと連帯感です。私にとっては、マンドリン合奏を通じて知り合った音楽家と仲間たちとのかけがえのない時間こそがJSYMOとMMCであり、そこに携わる全ての皆さんとの素晴らしい関係が一番の宝物です。
2024年10月14日
ジャパン・スーパーユース・マンドリンオーケストラ(JSYMO)
主宰・指揮者 橘直貴
ジャパン・スーパーユース・マンドリンオーケストラ 公式ホームページ