2022-2023 Autumn Orchestre de Salon
クラシックという言葉は、名詞だと「古典」という意味ですが、形容詞としての用法もあります。これですと「最高級な」という意味になることをご存知でしたでしょうか?
時のふるいにかけられた「最高級な」名曲は何もモーツァルトやベートーヴェンばかりではありません。東京室内管弦楽団では映画音楽、イージーリスニング音楽等の様々なジャンルにおけるクラシックな名曲のコンサートを昨年より次々とリリースして参りましたが、その第3弾としてタンゴの名曲をお届けする待望のシリーズが始まります。
触れる(タッチする)という意味を語源に持つタンゴは、文字通り男女が身体を密着させながら踊る熱情的な踊りです。
これは元を辿ると、ハバネラ(ハバナ風にという意味)などを起源とする中南米のものでした。これらは16世紀以降のスペインの植民地時代にヨーロッパに持ち込まれ、やがてヨーロッパ全土に広まり様式化され、コンチネンタルタンゴ(大陸のタンゴ)と呼ばれます。このコンチネンタルタンゴが再び海を越えて南米に入り、アルゼンチンタンゴとして昇華される。たいへん興味深いことですが、このように一つのジャンルと様式が世界を巡り、様々な土地や地域の色彩やキャラクターを吸収しながら、タンゴはより魅力的な音楽へと変貌を遂げていくのです。
このコンサートで皆さまにお届けするのは、コンチネンタルタンゴ、アルゼンチンタンゴなど実に盛りだくさんの内容です。
特に今回は、日本の歌謡曲、またヴァイオリンの名曲ツィゴイネルワイゼンをタンゴにアレンジした作品もプログラミングされていますが、これらは東京室内管弦楽団のオリジナルで、私たちのコンサートでしか絶対に聴けないものです。珠玉の名曲を選りすぐり東京室内管弦楽団の熱く、魂が震えるような演奏で皆さまをお待ちしています。
是非とも会場に足をお運びください、お待ちしています!
2022年9月15日
東京室内管弦楽団プリンシパルコンダクター
橘直貴