チャイコフスキー × ベートーヴェン
運命のモチーフが導く2つのNo.5

 オーケストラの名称として、管弦楽団、交響楽団、フィルハーモニーなどがありますが、その中で「室内管弦楽団」という名前に、皆さまはどのようなイメージをお持ちになりますか?
 「室内」ということから、室内楽という言葉が連想されるでしょうか。それ故に小さな規模のオーケストラのことを室内管弦楽団と想像される方は多いのではないかと思います。

 世の中がオーケストラに求めるものは実に多種多様でありましょう。実際にオーケストラの編成には様々な形態があります。編成の大小に限りません。クラシックはもちろんポピュラーの作品もレパートリーの範疇です。私たち東京室内管弦楽団には、それぞれのシチュエーションに合わせて最善最良のものをお届けできる柔軟性があります。例えば、この楽団の長い歴史において、実に135名の弦楽器奏者による東京室内管弦楽団100ストリングスという演奏会を行ったこともあります。また現在人気の高いゲーム音楽のコンサートをいち早く手掛けたのも、私たち東京室内管弦楽団です。

 このようにたくさんの顔を持つ東京室内管弦楽団ですが、演奏においてオーケストラとは、室内楽が大きくなったものです。つまり、それぞれの奏者が聴き合い、対話しながら音楽を紡ぐということ。そしてまた、個々の演奏者の存在や顔が見える演奏集団であるということ。歌う音楽、語る音楽と、音楽の中には時代や国を越えて様々なものがありますが、作品の書かれた時代背景などを読み取りながら、常にそこに情熱と熱気が宿る演奏をお届けすることを目指しております。

 私たち東京室内管弦楽団では、日々の活動の中でもう一つ、子供たちや若い方々に素晴らしい音楽を届けるという活動にも特に力を入れております。学校や各地域への音楽鑑賞教室のような演奏会です。そこでは毎回、オーケストラとは何かというお話はもちろんのこと、演奏作品について、またそれを書いた人物像などをなるべく分かりやすく、そして楽しく説明をしながら演奏をお届けしています。本日はフォーマルな演奏会であります故、お話を挟まずに演奏を進めて参りますが、音楽会における言葉を大切にしたいという方針のもと楽団を代表して私からの言葉によるメッセージも受け取っていただけたら、との思いから文章にてご挨拶をさせていただくことに致しました。

 本日のご来場、誠にありがとうございました。
 最後までごゆっくりお聴きいただけたらと思います。そして、これからも私たち東京室内管弦楽団の活動にご注目いただけましたら幸いでございます。

2017年2月16日
指揮者  橘直貴