“一日かぎりのオーケストラ”公演は当初、文字通り「一日かぎり」のつもりで企画、開催された演奏会でしたが、参加者の皆さんをはじめ、お客さまからありがたくもたくさんの反響をいただき、こうして第3回目を迎えることとなりました。本日も多くの皆さまにご来場いただきましたことに心から御礼申し上げます。

  
 一般参加者の皆さんのお気持ちや希望を汲みつつ、より楽しい演奏会にしていくために今回もこれまでに何度も協議を重ねる中で準備が進められて参りました。長い道のりでした。しかしこれも各方面、たくさんの方々のご理解とご協力があってのことです。心からの感謝を申し上げると共に、今日という日の喜びを噛み締めております。

 
 この“一日かぎりのオーケストラ”公演は、その名の通り一般参加者の皆さんと「コンセール・エクラタン福岡(以下、エクラタン)」のプロフェッショナルの演奏家が共に一日かぎりのステージを作り上げるというものです。一般参加型のこのような演奏会は全国にも存在すると思われますが、このステージに立つ一般参加者の皆さんは、今日のために複数回に渡りエクラタンの演奏家のレッスンを受けてきました。技術的にはもちろんのこと、演奏家との交流を通じて本番へのモチベーションを高める中での気持ちの昂りは、これから繰り広げられるであろう熱気溢れるステージへと繋がることでしょう。ただ演奏するのではなく、学びつつ楽しめる、このことが“一日かぎりのオーケストラ”公演の最大の特徴といえます。そう、学ぶことは楽しいのです。

 
 私にとりましても、学びあり、自分の中で何かが大きく変化しているのを強く感じて過ごしたこの数ヶ月間でした。素晴らしい体験、出会いなどに触れて、思い改めること感じることが重なっております。自分との対話ともいえるものが続く中で、常に私に気付きを与えてくれるエクラタンの存在は、もはや私の一部分とも思えるほどです。かけがえのない仲間と今日もこうしてステージに立つことができることのありがたさを、後になって気付くことがないように、今日の今をしっかり感じて参りたいと思います。

 
 学び、探求することの楽しさを、音楽という形にして、今日ここにお集まりの全ての皆さまと分かち合いたいと思います。しかし常に考えるのは、果たして私は与える側なのだろうか?ということです。そうではあるかも知れませんが、同時に、もっと大切なものを会場にお越しの皆さまや一般参加者の皆さん、ソリストやダンサーの皆さんから、私もいただいているに違いありません。
 

 本日の公演のもう一つの大きな目玉は、素敵なソリストをお迎えしていることです。久留米でお生まれになった柴田奏さんと花音さんは、姉妹でありながら、それぞれ素晴らしい才能を開花させ国内外にてご活躍されています。ご親族の方々も久留米での音楽文化の発展に長らく寄与されてこられました。久留米から世界へ羽ばたく若き音楽家として、また日本の音楽界の将来を担う逸材です。その演奏にいち早く接することができることは、無上の楽しみでありましょう。

 
 地元、久留米のフジタバレエ研究所の皆さまとは、今回もご一緒させていただけることとなりました。フジタバレエ研究所とエクラタンは共に育っているという実感が私にはあります。多くのの共演機会をいただけていることは、どんなに感謝してもしきれないほどです。11月に予定されております「シンデレラ」全幕公演にも是非お越し願えたらと思います。

 
 “一日かぎりのオーケストラ”ステージにおいて今回ソリストを務めて下さる吉村和弥さんは、現在フリーでクラシックのみならず、ポピュラーの世界でもご活躍されているピアニストです。吉村さんと“一日かぎりのオーケストラ”とのコラボレーション、きっと皆さまの期待をはるかに大きく上回るものになるはずです。

 
 このように、たくさんの才能と情熱が響き合うこの“一日かぎりのオーケストラ”公演は、毎回盛りだくさんな内容でお送りしておりますが、ありがたいことに来年も開催することが既に決まっております。次回以降もさらに楽しい企画で皆さまをお待ちしたいと思います。詳しい内容につきましては、このプログラム内での告知またはエクラタンのホームページをご覧いただけたらと思います。

 
 今後とも「コンセール・エクラタン福岡」の活動にご期待、応援のほどよろしくお願い申し上げます。本日もようこそおいでくださいました。最後までごゆっくりお楽しみください。ありがとうございました。
 
 
 
2019年3月31日
コンセール・エクラタン福岡
橘 直貴